「白い暴動」

1978年4月30日、トラファルガー広場に集合した若者たちは、
ロンドン市内をデモ行進。その後ヴィクトリア・パークに集まりました。
その数10万人。
そこで開催された音楽フェスティバルには、スティール・パルス、The Clash、Tom Robinson Bandが出演!
彼らから伝えられたメッセージとは。。。

ドキュメンタリー映画「白い暴動」は、70年代、英国が経済破綻から抱えた移民排外主義、
人種差別主義のNF(ナショナルフロント)に対する、若者たちの怒りが描かれています。
(ものすごく簡単に言ってしまいましたが、もっと複雑であることは映画を見てください)
ロック・アゲインスト・レイシズム!(RAR)の創設者であり、芸術家、写真家のレッド・ソーダズが
当時を振り返る作品となっています。
The Clashのライヴに触発されたレッドは、自費出版で人種差別に反対するメッセージと音楽、文化を織り交ぜた雑誌を
ライヴ会場で販売、その運動が大きな輪となり、若者たちが時代を変え、RARは大きな力となりました。

 

映画を見ながら、パンク・ムーヴメントの上っ面しか見ていなかったのか、と反省するぐらい、
移民排除、人種差別だけでなく、若者たちが生きる希望を失いつつある切実な思いの中で生まれたのが
パンクだったということを改めて知らされました。
The Clashが、Tom Robinson Bandが、999が、Sham69が。。。。
彼らの存在、発言に重みを感じる時間となりました。

 

私が初めてロンドンを訪れたのは、そのフェスティバルがあった半後の1978年夏でした。
Queenが大好きで、ジョン・ディーコンが卒業したキングス・カレッジの寮に入り、
1ヶ月間のサマースクールを経験しました。
成人式の着物はいらないから、ロンドンに行かせてくれ、と両親に頼み込んで!

 

初ロンドン トラファルガー広場にて!半年前には多くの若者たちの思いで溢れた場所です。


当時の私は、パンクというよりも、クイーン、ジューダス・プリーストが好きなブリティッシュ・ロック少女。
すでに「全米トップ40」のお仕事も始めていたので、初ロンドンにして、初インタビューにも挑戦しました。
スージー・クアトロ、City Boy、JAPANにインタビュー。
初めてのロンドンを無我夢中で楽しむ時間ばかりで、当時イギリスで起こっていることなど、
目に入ることはありませんでした。ただ、自然にその滞在期間中、自分はアジア人で、イエローなんだって、
ヨーロッパのクラスメートの中に入って気づかされた自分がいました。

 



City Boy!取材が終わったのは夜。ロンドンの街は危ないから、
とメンバーの運転で寮まで送ってもらいました。

 

そして1年後、再びイギリスへ。「全英トップ20」も始まっていた頃です。
パンク・バンドにも会ってみたいな、という軽〜い気持ちで、
999、バズコックスにもインタビューしました。
999のニック・キャッシュとは、その後文通をする仲良しさんになり、
いつの間にか999のファンクラブにも入っていたという素敵な思い出があります。
振り返ってみると、ニックがよく言っていたのは、とにかく日本の若者にも僕たちのメッセージを届けて欲しい、と。
その意味は、パンク・バンドのスピリットを届ける、それは彼らの音楽をラジオでオンエアーして応援する、
ぐらいにしか受け止めていませんでしたが、
その言葉の奥には、切実としたものがあったことを、この映画を見て知ることになるなんて!
遅すぎますね。
世の中に対するメッセージとかそう言った大きな枠ではなく、もっと身近に自分たちの目の前に置かれている現実を
彼は伝えたかったのに、当時の私はそれをパンクという音楽フィールドだけで捉えていました。

 

999のNick Cash

 

バズコックスとのインタビューは、999の時のほんわかとしたものとは異なり、
ピート・シェリーにうまく進めてもらいましたが、とてもトンガった若者たちにタジタジになった記憶があり、
パンク・バンドへの取材は気合を入れて向かわないといけないな、と少し敬遠するきっかけになってしまいました。
しかし、来日時のThe Clashのトッパー・ヒードンとのインタビューや、トム・ロビンソンとのインタビューで、
音楽を伝える立場の私たちも、その垣根を越えて、自分の思うままに伝えていくことでいいのだと気づくきっかけを与えてくれました。
トム・ロビンソンとは、ウエスト・ロンドンにある彼のフラットでのインタビューでしたが、
リラックスした中で、紅茶をご馳走になり、親日家である彼の熱い思いと自分がなすべきことへの使命感を語ってくれました。
最後に、柔道着に漢字を入れたいからマジックで書いて欲しいと、一言漢字を書いて帰ってきまたっけ。
それぐらい、様々なことを聞くことができる良いチャンスだったのに、1978年の出来事をちゃんと知っていれば、
もっともっと深い思いを聞くことができたはず、と後悔しています。

「白い暴動」には、Sham69のジミー・パーシーの存在の大きさが伝えられ、The Clashのリハ風景、
本番で「白い暴動」をジミーと共演する貴重な映像もあります。
また、個人的に好きなAdam AntのRARに対する思いが紹介されました。
とても興味深く、彼らしい発言であり、アイドル的存在になってからの王子さまキャラが強いですが、
彼がインディ時代に作り上げてきた音楽とファッションと生き方への姿勢を改めて知ることができました。

 

Adam Ant       バーミンガムにて!


今も変わらず人種差別はあって、世界で多くの人たちが立ち上がっています。
40年の月日が経っても、あの時と変わらない世の中に憤りを感じています。
そう、闘いはまだ終わっていないのです。

世の中って変わらないのでしょうか?
こんな世の中でいいのでしょうか?
息が詰まるような世界の中で、音楽はみんなのものであり、人種とは関係ない!
音楽を愛し、差別を憎め!
こうメッセージする「白い暴動」。

色々な人がいて、色々な考えがあります。言論の自由は失われてはいけないけれど、
そこに愛があって、そこに夢があって、そこに幸せがあることで、世の中が変わればいいだけです。

 

I Love UK!